Mathieu
Vietnam Country Manager
MBA in Grenoble Business School (TOP 6 French Business School)
5 year experience in Quality Control industry
Multiple languages speaking (French, English, Spanish, Mandarin)

Jun 04, 2021

[中国検品現場から] 最も優れた調達地:ベトナム?中国?

前書き

 

今日現在(2019年9月)、米中貿易戦争は二国間で依然として激しく行われています。東南アジアからの調達は新しいトレンドではありませんが、現在の状況は東南アジア全体を次のレベルに押し上げています。その中でもベトナムはこの混乱下で大きく躍進しています。Googleは先日、Pixelスマートフォンの生産をベトナムに移すと発表しました。AppleとFoxconnも同様の検討をしています。サムスン・LGは既にベトナム国内に工場を有しており、NIKEは製品の50%以上をベトナムから調達しています。

 

 

V-Trustは(2019年9月現在)中国で15年間、ベトナムで5年間経営しています。両国それぞれにオフィスを構えて事業を展開しており、ベトナムで事業を開始する際の問題点と考えられる課題を熟知しています。私たちはこれまでに以下に記述するような問題に直面しました。私たちの経験と考察を共有致します。

  1. 本当に中国からベトナムへ移転する費用対効果は高い?

 

高いです。ベトナムの人件費は中国より低いです

 

中国では人件費が上昇し続けており、他国と労働生産性について比較しても中国はそれほど競争力がありません。米中貿易戦争によって引き起こされた嵐は、新しい調達先を模索する理由にすぎませんが、全体像はそれよりもはるかに大きいです。中国はかつての世界の安い工場ではありません。労働力はより上昇しており、4億人以上の中産階級が台頭し始め国内市場は徐々に輸出志向型経済に取って代わっています。

 

長期的視点では人件費の上昇は、バイヤーが他の場所での調達を検討する動機となる主な理由の1つです。ではベトナムだと如何でしょうか。


ベトナムは現在では、労働集約的な製造業の最適地です。低賃金・より緩やかな賃金の伸び・世界で最も若い労働力によって、中国よりも費用効果の高いソリューションとなります。

 

私たちが行っているSMETA監査での労働者への聞き取りによると、ベトナムの工場の生産ラインの経験の浅い労働者は通常ひと月に約300ドル(残業代を含む)、中国の沿海エリアの労働者はひと月に約600ドル(残業代を含む)を稼いでいます。更に中国の多くの工場では労働者に社員寮を提供する必要があります。ベトナムではほとんどありません。

総コストを見積もる際に考慮すべきことは人件費だけ?

 

ベトナムの製造業の給与は間違いなく低く、コストを抑えることができます。ただし、人件費だけを考慮するのは間違いです。他のいくつかの費用も考慮する必要があります。

  1. 機械は海外から(多くの場合中国から)頻繁に輸入されます。これはコストがより高くなることを意味します。交換またはスペアパーツが必要な場合は長い遅延が発生する可能性もあります。
    例えば、射出成形金型メーカーはベトナムでは利用できません。独自の金型を製造するためのノウハウと設備を備えている工場はごくわずかです。
  2. 原材料もよく輸入されます(これもまた中国から)。
    生地を例にとると、それは「ベトナム製」(多くの場合韓国が管理)の生地産業の始まりにすぎません。ベトナムで使用されている生地のほとんどは今でも輸入されています。

 

原材料を輸入すると多くの場合はユニットあたりの価格が上昇します。更にサプライチェーンに追加のリスクをもたらします。

 

  1. ベトナムのインフラは間違いなく中国の水準には達していません。輸送コストが高くなると、中国で生産する場合よりも単価が高くなる可能性があります。インフラ上の問題によって発生する可能性のある遅延も考慮されていません。本記事第4章で解説します。
  2. ベトナムの多くの工場は外資系企業が所有している工場です(中国ではほとんどありません)。これには確かに利点があります(意思疎通が容易で、通常は品質もより優れています)。しかしこれは工場に10〜50人の外国人マネージャー(韓国人、中国人、日本人、時にはヨーロッパ・アメリカ人)を置くことになりコストが高くなることを指します。これについて本記事第5章で解説します。

 

このように人件費だけを考慮するだけでは十分ではありません。

 

  1. 中国のより高い関税の脅威とベトナムの多数の自由貿易協定

米中貿易戦争に言及することから始める必要があります。全ては2018年7月に始まり、それ以降、世界の2大経済国が互いの商品に数十億ドル相当の関税を課している。(2019年9月現在、米国の関税による3600億ドル以上の中国製品と、中国の関税による1100億ドル以上の米国製品)

 

しかし、これは氷山の一角に過ぎません。2つの超大国が合意に達したとしても、おそらくそれはより大きなストーリーの始まりにすぎません。西欧諸国(米国だけでなく)は中国という超大国の台頭により、覇権を失うことを恐れています。

 

米国は中国との貿易戦争を開始し、ヨーロッパは2018年に中国との貿易赤字が過去最高の2,050億ドルに達しました。中国は今日現在、通信(5G)・人工知能・自動運転車などの主要産業における将来の潜在的な世界的リーダーと見なされています。中国の影響力は世界経済に及ぶ限りではありません。軍事費は2009年から2018年の間に実質83%増加し、主要国で群を抜いて最大の成長を遂げました。中国は精密ミサイルと対衛星兵器の配備が可能となり西太平洋での覇権に挑みました。その影響は現在ラテンアメリカ(およそ1500億ドルを 2005年からラテンアメリカ諸国に貸与)、ヨーロッパ(ギリシャのピレウス港が中国のコスコホールディングによってほぼ完全に運営されている等)で見られます。貿易戦争全体はおそらく始まりに過ぎません。

一方で、中国はその製品を輸出するためにより多くの課題に直面しています(おそらく近い将来、米国だけでなく、西欧諸国に対しても)。更にその一方でベトナムは世界各国との二国間貿易協定の締結に非常に積極的に取り組んできました。

 

ベトナム自由貿易協定(2019年9月現在)

発効済み

予定または交渉中

ASEAN-(AFTA)

地域的包括的経済連携(RCEP)

環太平洋パートナーシップ(CPTPP)に関する包括的かつ進歩的な合意

ベトナム-パキスタンFTA

欧州連合ベトナム自由貿易協定 (EVFTA)

ベトナム-ウクライナFTA

米国とベトナムの二国間貿易協定(BTA)

ベトナムロシアユーラシア経済連合FTA

ASEAN FTAとの関係:
-
オーストラリアとニュージーランド(AANZFTA)
中国(ACFTA)

インド(AIFTA)
日本包括的経済連携(AJCEP)
韓国(AKFTA)                

 

日ベトナム経済連携協定(VJEPA)

 

2007年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、ベトナム当局は世界中で自由貿易協定を締結することに非常に積極的に取り組み、成功してきました。

 

ベトナムは東南アジア諸国連合(ASEAN)の正規加盟国です。オーストラリア、ニュージーランド、中国、日本、インド、韓国との自由貿易協定(FTA)への進出も可能。

 

2018年以降、ベトナムは環太平洋パートナーシップ(TPP)、CPTPP(5億人以上の世界市場)に加盟しました。

 

更に、ここ最近で最も重要な出来事は2019年にベトナムが欧州連合ベトナム自由貿易協定(EVFTA)に署名したことです。これはEUとベトナム間の関税の約99%の撤廃を実現する野心的な協定です。(現在、ベトナムのEUへの輸出に関する関税の71%が撤廃され、残りはその後7年間で撤廃される予定です)

 

米国とベトナムの二国間通商協定(BTA)は2001年から発効しています。それ以来、貿易は約20%増加しており、CPTPPからの米国の撤退は、これまでのところ両国間の貿易に実質的な影響を及ぼしていません。

 

3.製造業大国の中国VS製造業の先行きがまだ見えないベトナム

 

中国は製造業に関してはとても融通が利きます。ほとんどの製品は中国で作られ、見つけるのが容易です。サプライヤーの多様性に関しては、世界のどの国も競争することはできません。これにより製品の調整・デザインの変更・新しい部品の発見・機能の変更を迅速に行えます。ベトナムでは通常いずれかが不足している場合があります。

私たちの中国のお客様はまず「期待する品質レベルで最良の価格はどこで見つけられるか」とお考えになりますが、ベトナムのお客様の場合は初めに「そもそもベトナムで作ることはできるのか」ということをお考えになります。今日現在のベトナムは中国が今現在提供している多様性レベルを実現することはできません。

 

商品を生産することができる工場を見つけたとしても、以下の状況に遭遇するかもしれません

 

  1. ベトナムの最低発注数量は通常多い(中国よりもはるかに高い)です。特に大きな工場ではこのような傾向があります。このような工場は、H&MやZaraなどの世界的なブランドとのみ提携しています。もし彼らがあなたの会社規模が小さすぎると判断した場合、あなたの問い合わせに答えることさえしないことがあります(V-Trustの複数のお客様でこのようなことが起こりました)。
  2. ベトナムの工場主の考え方も中国とは異なります。新規顧客を探しておらず、問い合わせにも対応しないというベトナム人工場主たちに何度も出会いました。時には米中貿易戦争の情勢により需要が供給よりも高い・生産能力がそれほど高くないために、それ以上の生産をするつもりがない、また時には工場が大きくなることによる管理体制を手間に感じるなどの様々な理由から上記のような考え方になるようです。

  3. 機械、原材料、部品は海外から(多くの場合中国から)輸入されることが多く、生産スケジュールの遅延につながる可能性があります。さらに重要なことはこの状況は製品の製造プロセスの変更・機械の調整・新しいサプライヤーへの部品の注文が必要になり工場の意欲を低下させます。製品設計の変更はベトナムではあなたを悩ませる可能性があります。この点について中国では一夜の数通のメールで解決できる可能性があります。

 

4.中国・ベトナム二国間の大きなインフラ格差

 

特に中国の沿岸地域は世界トップクラスの輸送インフラを備えています。おそらくほとんどの欧米諸国よりも質が高いでしょう。

 

世界で最も混雑する10の海運港のうち7つ(上海、深セン、寧波舟山、香港、広州、青島、天津)を有しており、世界の新幹線の三分の二を占める29,000 km(18,000マイル)の線路を備えた世界最大の高速鉄道システムを構築しています世界最長の高速道路システム(142,000キロメートル– 88,500マイル)も有しています。2011年以来、アメリカの州間高速道路システムの全長(77,000キロメートル– 48,000マイル)を超えています。

 

この発達したインフラはサプライヤーを訪問し、商品を世界最大の港に輸送し、製品や原材料の一部を変更するために新しいサプライヤーを発見し、労働者が沿岸地域に来て働いてもらうなどの際に非常に役立ちます。中国のインフラ・物流ネットワークは非常に発達しており、人件費の上昇やその他の追加費用を補うことができます。

またベトナムの限られたインフラは制限要因の一つとなる可能性があります。まだ高速道路はほとんど開発されておらず、道路の40%は良好な状態ではなく、19%の道路のみが舗装されています。

 

ホーチミン・ハノイから約50km圏内の工場の訪問を計画してみましょう。交通渋滞や大量のバイク等により移動速度が遅くなります。更に道路状況が悪いため、今回の訪問は平均2時間以上かかります。ベトナムでの出張を計画する際はどうぞお気を付けください!

公平を期すためにお伝えすると、ベトナム政府は現在(2019年9月現在)、ハノイとホーチミンを結ぶ高速鉄道(建設前は約35時間かかる旅程)と中国と隣接する北部から南部を繋ぐ約2000キロメートル(1300マイル)の高速道路を備えた輸送インフラへの巨額の投資を計画しています。どちらのプロジェクトも2030年までに完了する予定です。

ベトナムで非常によく目にする光景で、登録されている自家用車はわずか200万台であるのに対し、バイクの登録数は4500万台を超えています。世界で最も高いバイク所有率の1例であり、毎日渋滞を引き起こす原因となっています。

 

 

5.外資系製造業

 

中国では外資系工場はめったにありませんが、ベトナムは製造業への外国からの投資を歓迎しており、外資系工場の開設もかなり容易になっています。

 

私たちはベトナムで毎年何百もの検品と監査を行っています。私たちが訪問した工場の中には、韓国、中国本土、台湾、シンガポール、日本、ヨーロッパ、アメリカによって実際に管理および所有されている工場もありました。これらの工場には通常10人から100人の外国人従業員が直接工場に駐在し生産とベトナム人労働者を管理しています。彼らは通常、それぞれの業界で幅広い経験を持ち、より良い品質レベルを提供し、より厳格な製造プロセスを適用します。ベトナムとの最初の取引で外資系の工場と取引すると、リスクと心配が少ないかもしれません。

2019年には、多数の中国人経営者がベトナムに工場を開設するにつれて、おそらく中国の直接投資が最大になるでしょう。

 

中国の工場がベトナムに支社を開設するという新しいトレンドも現れています。中国のメーカーは今までにもベトナムに存在していましたが、今やその規模は比べ物にならないほどです。更に現在も貿易戦争によって大幅に後押しされています。2019年の第1四半期には、ベトナムへの外国投資が86.2%増加して108億米ドルになり、中国の投資がほぼ半分を占めました。ベトナムの不動産会社によると、中国のメーカーによって2019年の最初の8か月で、過去8年間の工場リース額を超えたそうです。これはトレンドの大きさを表しています。中国の製造業者は貿易戦争の影響を相殺するために移転する場所としてベトナムを第一の選択肢と見なすことがよくあります。これについて誰が詳しく知っているでしょうか。あなたの中国のサプライヤーはすでにベトナムに工場を開設しているかもしれません。彼らに直接聞いてみませんか?

 

これは双方にとって良い状況かもしれません。長年にわたって築いた関係が無駄になることはなく、同じサプライヤーと協力し続けることが出来る上に、彼らはすでにあなたの要件に精通しています。中国のスタッフの一部を再配置しベトナム人労働者を管理することもできるでしょう。

 

 

V-Trustは独立した第三者機関の検品・監査サービスとして、専門の中国検品員を正規採用でのみ雇用することで、サービスの保証を行い、透明性と信頼性の最大化に努めています。製品の専門的な中国検品が必要で、詳細情報やサンプル検品レポートが必要な場合は、遠慮なくwww.v-trust.com、またはメールinfo@v-trust.comからお問い合わせください。

 

中国検品に関する過去記事もご参考ください。

中国で検品会社を利用する3つの理由

中国で優れた検品会社を選ぶには?

なぜ中国の第三者検品会社を利用するのか

V-Trust中国検品員の1日:“Helping buyers sleep better”

自信を持ってメーカーを選ぶ-Part1

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